2024-03-27

海外取引の主な貿易条件には、FOB(本船渡し)、FAS(船側渡し)、CIF(運賃・保険料込み本船渡し)などがあります。信用状なしの荷為替手形取引(D/P、D/A)はリスクが高く、輸出規制対象品は経済産業大臣の許可が必要です。Paypalは電子メールで海外送金できるが、口座種類で制限あります。契約時は自社に有利な条項を盛り込んだ英文契約書のひな形を提示し、支払条件、遅延金利、契約解除等の条項で債権回収リスクに備えることが重要です。

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目次

海外取引に特有の主な貿易条件

国際取引における貿易条件とは、貨物の出荷に伴う費用負担や貨物の危険負担の範囲を当事者間で取り決めた条件のことを指します。貿易条件によって、売主と買主の責任範囲が明確になり、トラブルを防ぐことができます。主な貿易条件には以下のようなものがあります。

Free On Board (FOB) 本船渡し

輸出者が指定地までの商品と出荷費用を負担する条件。輸出者は、船、トラック、電車、航空便などの手段で商品を運ぶ責任を負います。バイヤーは輸出者に出荷手配の委託に必要な費用を払い、輸出者は販売を完了する責任を負います。

Free Alongside Ship (FAS) 船側渡し

バイヤーが海上運賃や航空運賃を負担し、輸出者が商品を出荷地まで運ぶコストと責任を負担する条件。輸出者は取り決めた場所まで商品を運搬し、そこからはバイヤーが責任をもって商品を出荷します。商品に損失がある場合の責任は、その商品のある場所で決まります。

Cost, Insurance and Freight (CIF) 運賃・保険料込み本船渡し

輸出者が海上運賃の見積りを取得し、その費用を価格に含める条件。通常、バイヤーが海上運賃を支払いますが、この場合には輸出者が負担します。輸出者の責任範囲は、商品の製造、出荷用の梱包、港や空港までの運搬、通関業者の手配、海上運賃の支払い、保険の付保、バイヤーの目的地までの国内輸送手配など多岐にわたります。

これらの貿易条件を理解し、取引内容に応じて適切な条件を選択することが重要です。また、貿易条件に関する国際規則であるインコタームズを理解しておくことも有益です。

 

荷為替手形取引のリスクと輸出規制

信用状なしの荷為替手形取引は、リスクが高いことに注意が必要です。D/P(支払渡し)では、商品を送っても代金が支払われる保証はありません。バイヤーが輸入地の銀行に手形代金を支払わない場合、輸出者は他のバイヤーを探して貨物を転売するか、最悪の場合には貨物を再度船積みして輸出地まで送り戻すしかありません。

一方、D/A(引受渡し)では、為替手形と引換えに商品はバイヤーの手に渡りますが、為替手形の不渡りに対する規定は甘く、期日に支払われない可能性があります。このような場合、貿易保険の付保やファクタリングを検討すべきです。

また、輸出しようとする製品や技術が外為法で規制されている場合、経済産業大臣の許可が必要になることがあります。主な規制対象には、武器、原子力関連製品、化学兵器、生物兵器、ミサイル関連製品などがあります。リスト規制対象外の製品や技術であっても、大量破壊兵器の開発などに利用されるおそれがあれば許可が必要です。外為法違反には罰則も規定されているため、十分な注意が必要です。

 

電子メールを活用した海外送金とリスク管理

近年、海外送金の主流になりつつあるのが、電子メールを活用したシステムです。代表的なPaypalは、送金先の電子メールアドレスさえわかれば全世界に安全に送金ができる利便性があります。送金を受けた相手は、ペイパルに口座を開設することで、入金額を小切手で受け取ったり、自分の銀行口座に振り替えたりすることができます。

ただし、ペイパルのサービスには口座の種類によって制限があることに注意が必要です。個人向け口座では、クレジットカードを使って送金したお金を受領できません。また、プレミア口座と法人向け口座では、受領に手数料が取られる点が異なります。海外の銀行への振替えには手数料がかかり、為替手数料も発生します。

日本でペイパルを利用する場合、クレジットカード、米国の銀行口座、日本の銀行からの振込みによって、ペイパルの口座に入金することができます。ペイパルは使い勝手が良いため、送金上限額が緩和されれば、送金ベースの国際決済がより行いやすくなると期待されます。

 

契約時のリスク管理のポイント

海外取引において、契約の締結は非常に重要です。トラブルを防ぐためには、事細かに取り決めをすることが求められます。日本でよく見られる「誠実協議条項」は、海外の契約書には存在しません。何かあったときは、お互いに不信感を抱き、誠実に協議などできないためです。

契約時のリスク管理において重要なのは、自社に都合の良い条項を盛り込んだ契約書のひな形を提示することです。こうすることで、相手側が不利な条項について指摘し、交渉するハンディを負うことになります。国際法に詳しい弁護士に、自社の業種と取引形態に適合した英文契約書のひな形を作成してもらうことをお勧めします。

また、債権回収において重要な条項として、支払条件、遅延金利、契約解除、期限の利益喪失などを契約書に盛り込むことが重要です。支払条件では、期日どおりに支払われない場合に遅延金利を加算する旨を定めておくことで、遅延に対する抑止効果が期待できます。契約解除の条項では、債務者が支払いを遅延し、一定期間内に支払いを実行しなかった場合、債権者が契約を一方的に解除できる旨を定めておくことで、契約残の商品の出荷を停止しても損害賠償に問われる可能性がなくなります。

 

まとめ

海外取引を成功させるためには、貿易条件の理解とリスク管理が不可欠です。FOB、FAS、CIFなどの主要な貿易条件を把握し、荷為替手形取引のリスクや輸出規制に注意を払う必要があります。また、電子メールを活用した海外送金システムの特徴を理解し、適切に利用することが重要です。契約時には、自社に有利な条項を盛り込んだ契約書のひな形を提示し、債権回収に備えることが求められます。これらのポイントを踏まえて、適切な対策を講じることで、海外取引におけるリスクを最小限に抑え、円滑な取引を実現することができるでしょう。海外取引のリスクを理解し、適切に管理することが、国際ビジネスにおける成功の鍵となります。

*本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。

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