2024-03-28

海外取引先が倒産した場合、法的整理か私的整理かを把握し、適切な対応が必要です。法的整理なら債権登録と手続きのモニタリング、私的整理なら契約内容確認と出荷停止等の検討が重要になります。信用調査会社の活用で、客観的評価、調査の効率化、独自情報の入手等のメリットを得ながら業界の倒産情報にも敏感に対応可能です。また、トレード・レファレンスを活用し取引先の支払い状況を主要サプライヤーに照会を基に取引先の審査を徹底し、専門家の助言を得ることも有効です。

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目次

取引先が倒産した場合の対応

海外取引先が倒産した場合、まず事実関係を確認し、倒産の種類を把握することが重要です。倒産には、法的整理と私的整理の2種類があります。

法的整理の場合は、裁判所や管財人から正式な破産通知が送られてくるのが一般的です。この場合、債権登録を行い、破産手続きや再建手続きの動向をモニタリングする必要があります。債権登録の手続きは、国により異なりますが、比較的簡単です。公正証書にする必要もなく、債権額の合計を記載し、責任者が署名をして、関連書類一式を添付して送り返せば完了します。

 

私的整理の場合は、債務者との契約内容を確認し、未回収の債権残高や契約残高を調べ、必要に応じて出荷を停止するなどの対応が求められます。ただし、債務者との契約内容によっては、一方的に契約を解除できない場合もあります。あるいは、管財人からの要請でどうしても原材料などを供給しなくてはならない場合もあります。いずれにしても、まずは出荷を停止してから、契約条項を精査して今後の対応を検討することが重要です。

倒産の兆候を早期に察知するためには、取引先の個別状況だけでなく、業種・業界全体の動向も把握しておく必要があります。例えば、米国では、全米与信管理協会(NACM)が主宰している各業界の団体に加盟すれば、業界の信用情報や最新動向を入手することができます。また、取引先の国の主要経済紙を購読することで、経済全体の動向や取引先の業種の変化を知ることができます。

 

信用調査会社の活用

海外取引先の信用調査を行うことは、与信管理の基本です。新規取引先はもちろん、既存取引先についても定期的な調査を実施することが望ましいですが、海外取引先の場合、自社だけで十分な情報を収集することは難しいのが実情です。そこで、信用調査会社を利用することで、以下のようなメリットがあります。

客観的な評価の入手:信用調査会社独自の評価指標である「格付け」「評点」「スコアリング」などを利用できます。

調査時間と費用の節約:信用調査会社が保有する企業データベースを活用することで、効率的かつ低コストで情報を入手できます。

独自調査情報の把握:信用調査会社が収集した、手形情報、マイナス情報、周辺情報などを入手できます。

匿名調査活動の実行:取引先に知られずに調査を行うことができます。

リスクマネジメント:与信管理のプロセスを守っていることを証明できます。

信用調査会社から得られる情報には、公開情報、客観情報、分析情報、主観情報の4種類があります。公開情報は、企業が自ら公表している情報や法律により公開された情報です。客観情報は、公開はされていないものの客観的な情報で、銀行からの情報、手形の不渡り情報、支払情報、業種団体や協会の情報などが含まれます。分析情報は、信用調査会社が独自に分析した情報で、格付けや倒産確率などがこれに当たります。主観情報は、信用調査会社の調査担当者の主観に基づく報告で、経営者の人柄や会社の雰囲気などがこれに当たります。

与信判断を下す際には、これらの情報の性質を見極め、総合的に判断することが重要です。ただし、信用調査会社の報告書には、必ずしもこの区別が明記されていないことに注意が必要です。

 

トレード・レファレンスの活用

トレード・レファレンスとは、取引先の支払い状況について、その取引先の主要サプライヤーに照会して確認する仕組みです。欧米、特に北米で一般的な商習慣であり、アジア地域でも香港やシンガポール、オーストラリアなど、欧米文化の影響を強く受けた国で見られます。

具体的には、サプライヤーAがバイヤーBと新規で取引を開始する際に、バイヤーBの支払い状況をバイヤーBの主要サプライヤーCに照会して確認します。主要サプライヤーCは、あらかじめバイヤーBに担当者の連絡先を聞いておきます。トレード・レファレンスを3~5社に対して行うことで、支払いのトレンドを把握することができます。

 

トレード・レファレンスで入手可能な情報は、与信管理において非常に重要なものです。与信残高、取引金額、遅延期間と金額、支払条件、取引年数などの情報を入手できます。日本企業の多くは、取引の有無さえも教えないことが多いですが、欧米では支払い、与信管理、債権回収といった一連の行為に対する概念が異なるため、協力を得られやすいという特徴があります。

ただし、トレード・レファレンスで入手できる情報は、あくまで可能性であり、場合によっては入手できないこともあります。また、信用調査会社のデータにおいては、サプライヤーの社名は一切開示されないしくみとなっていることにも注意が必要です。

 

まとめ

海外取引先の与信管理は、国内取引とは異なる対応が求められます。取引先が倒産した場合の対応、信用調査会社の活用、トレード・レファレンスの活用などを通じて、リスクを最小限に抑えることが重要です。また、与信取引申請書を作成するなど、取引先の審査を徹底することも必要です。

与信取引申請書には、取引先の基本情報、担当者情報、トレード・レファレンス、財務情報などを記載します。これらの情報を確認することで、取引先の信用状況を総合的に判断することができます。

海外取引におけるリスク管理は、専門的な知識と経験が必要とされるため、自社での対応が難しい場合は、専門家の助言を得ることをお勧めします。また、取引先の業種・業界全体の動向を把握し、早期に倒産の兆候を察知することも重要です。

*本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。

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