2024-03-26

貿易保険(NEXI)は幅広い貿易取引リスクを、輸出取引信用保険は主に信用リスクを補償します。国際ファクタリングは債権回収リスクを外部化できるが、取引先承諾等の課題があります。他にも仲裁条項活用で紛争解決の選択肢拡大されていて、この方法は被告地主義等で仲裁機関を適切な選定がキーポイントになります。自社に合ったリスクヘッジ手段の組み合わせることで、海外取引を取り巻く様々なリスクに素早く対応可能になります。

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目次

貿易保険と輸出取引信用保険の活用

貿易保険は、日本貿易保険(NEXI)が提供する国営の保険です。輸出入、海外投資、融資など幅広い貿易取引におけるリスク(政治リスク・信用リスク)を補償します。具体的には、戦争、テロ、自然災害など不可抗力のリスクに加え、取引先の倒産や長期の支払い遅延などの信用リスクによる損失を補てんします。貨物の船積み不能、代金回収不能、海外投資の損失などがその対象となります。

一方、輸出取引信用保険は民間保険会社が提供しており、主に包括的な信用リスク補償が中心となります。通常は10社程度の取引先に対する売掛債権をまとめて保険に付す形が一般的です。保険料は対象とする売上高に対してコンマ数パーセントと算出されることが多くなっています。

貿易保険と比べると、契約手続きや保険金受領手続きが簡易であり、回収義務も保険会社が負うというメリットがあります。一方で、取引先の選定が自由にできないデメリットもあります。

自社の取引形態やリスクヘッジニーズに合わせて、2つの保険を使い分けることが重要です。場合によっては両者を組み合わせて活用するのも有効な選択肢と言えます。

 

国際ファクタリングによる債権回収リスクの外部化

国際ファクタリングは、銀行やファクタリング会社が海外取引の債権回収リスクを肩代わりするサービスです。オープンアカウント取引における代金回収リスクを保証してくれます。大手銀行やその子会社が提供しているので、取引銀行に相談すれば簡単に利用できます。

取引先ごとのリスクを外部化できるのがメリットでが、買い取り型の場合は債権譲渡に取引先の承諾が必要になること、保証型でも承諾が必要な点がデメリットと言われます。また最終的にはファクタリング会社の審査があり、引き受けられない可能性もあります。

上記のようなメリット・デメリットを十分に理解した上で、自社のニーズに合った形態を選ぶことが重要になります。

 

仲裁条項の活用と仲裁機関の選定

契約書に仲裁条項を設けることで、将来的な紛争発生時に裁判外の仲裁による解決も可能になります。仲裁人の選定に当事者が関与できるため、中立的な第三者を仲裁人に選任できるメリットがあります。さらに仲裁は基本的に非公開で行われるため、企業秘密の漏洩リスクが低くなります。また裁判の3審制に比べ1審制のため、時間とコストを節約できる長所もあります。

一方で、仲裁機関や仲裁地の選定が重要なポイントとなります。自社に有利な仲裁機関を主張する一方で、相手方も同様に主張するため、譲歩が必要になることがあります。一つの対応策として、被告地主義をとり、被告側の所在地の仲裁機関を利用する、という方法があります。適切な仲裁条項の設定と、仲裁機関選定のための十分な検討が不可欠です。専門家に助言を仰ぎながら、自社に最適な条件を追求することが重要です。

 

海外での訴訟と弁護士選定

訴訟リスクを軽減するため、海外で訴訟を起こす際は慎重な検討が必要不可欠です。まずは相手方の資産の有無を確認し、回収の見込みを立てることが重要です。また訴訟に伴う時間とコストを事前に見積もり、債権額を上回る可能性がないか吟味する必要があります。

弁護士の選定も肝心な点です。現地の法制度に精通し、コミュニケーションを重視する信頼できる弁護士を見つけることが求められます。自社の顧問弁護士などを経由して弁護士を紹介してもらうのが無難です。

弁護士との委任契約においても、委任状の範囲を明確にしておくべきです。白紙委任は避け、適切に権限を定めた委任状にすることが賢明です。さらに海外での訴訟では、通訳・翻訳費用の確保も重要なポイントとなります。こうしたコストを見落とすと、かえって債権回収が困難になる可能性もあります。

総じて海外での訴訟は国内とは異なるリスクがあり、細心の注意を払う必要があります。事前の徹底した調査と、専門家の適切な関与を得ながら、賢明に対処していくことが求められます。

 

まとめ

海外取引は国内取引とは異なり、さまざまなリスクが存在します。政治的リスク、商慣行の違い、言語の壁など、予期せぬ事態に巻き込まれる可能性があります。そのため、事前にリスクヘッジ対策を講じておくことが極めて重要になります。

 

貿易保険、輸出取引信用保険、国際ファクタリング、仲裁条項の活用、海外での訴訟対応など、さまざまなリスクヘッジ手段について解説しましたが、これらの手段にはそれぞれ長所短所があり、自社の事業形態やニーズに合わせて適切に組み合わせる必要があります。

リスクヘッジ対策は、平素から関係部門が連携し、専門家の助言を仰ぎながら、綿密に策定していくことでひとたび事態が発生した際に、甚大な損失に柔軟に対応することができます。グローバル企業にとって、リスクを適切に管理しながらビジネスチャンスを確実に収益に結びつけていくことは、最重要課題の一つなのです。

*本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。

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