半導体産業が世界経済の回復を牽引している。AIブームによる需要拡大や、スマートフォン・PC市場の持ち直しを背景に、半導体売上高は急速に回復しつつある。この潮流は、日本の半導体関連企業にとって大きなチャンスとなる一方で、地政学的リスクという課題も浮き彫りになっている。本稿では、最新の経済指標を基に、半導体市況の動向と世界経済への影響、そして日本企業にとっての展望を探る。
クレジットヒルズは与信リスクの専門家として、お客様のビジネスの成長を支援します。
取引信用保険のスペシャリストとして、お客様の与信リスクマネジメントを強力にサポートします。豊富な専門知識と経験を活かし、お客様のニーズに合わせた最適な保険プランをご提案。保険会社との交渉力を発揮し、有利な条件を引き出すことで、お客様の利益を最大化します。
世界経済の回復と半導体需要
世界経済は、半導体市況の回復に伴い、着実に回復基調を強めている。グローバル製造業PMIは6ヶ月連続で50超の領域で推移しており、景気拡大を示している。地域別に見ると、中国は固定資産投資に支えられ51.8、米国は好調な消費を背景に51.6と堅調な推移を続けている。一方、ドイツは43.5と苦戦しているものの、緩やかな持ち直し傾向にある。
日本は自動車工場の稼働停止の影響を受けながらも50.0と踏みとどまり、台湾（53.2）と韓国（52.0）はAI関連需要にけん引され回復基調を強めている。これらの数値は、半導体産業が世界経済の回復を後押ししていることを如実に示している。
半導体売上高の急回復
世界半導体売上高は2024年5月時点で前年比+19.3％と、順調に伸び率を高めている。従来のスマートフォンやPC向け製品の回復は道半ばだが、AI向け需要の飛躍的増加により、全体として拡大局面に入っている。この傾向が続き、広範な製品で半導体需要が回復すれば、日本の半導体企業（製造装置、部材）にとっても追い風となるだろう。
台湾：半導体産業の動向を占う重要指標
半導体市況を読む上で重要な台湾の輸出受注は、6月に前年比+3.1％と4ヶ月連続でプラス圏を維持した。輸出の6割を占める電子製品と情報通信技術製品（ICT）が共に増加基調を維持しており、それぞれ+6.3％、+3.6％とプラス領域にある。
台湾の製造業PMIも6月に53.2へと改善し、2022年3月以来の高水準となった。電子部品の出荷・在庫バランスも+23.6ptと需給がひっ迫方向にあることを示している。出荷が+23.6％と2021年6月以来の高い伸びとなる中、在庫も+2.2％と1年ぶりにプラス圏に浮上した。積極的な在庫積み増しにもかかわらず、需給の引き締まりが確認できる。
韓国：半導体生産の回復
韓国の鉱工業生産統計を見ると、半導体の生産水準は既に前サイクルのピーク付近まで回復しており、同国の生産活動をけん引している。韓国産の半導体はAI分野の中心的存在ではないが、既存の半導体で有する競争力がいまだ健在であることがうかがえる。
一方で、日本の鉱工業生産は韓国に大きく引き離されており、半導体分野における失地回復が望まれる状況だ。
日本企業にとってのチャンスと課題
7月に半導体関連銘柄は、米国による中国に対する規制強化を警戒する動きから調整を強いられた。日本の半導体関連銘柄については、半導体製造装置の輸出仕向け地として中国の存在感が増していることを踏まえると、地政学リスク絡みの動向に対して楽観は禁物だ。
しかし、中長期的にみればサプライチェーンの再構築に伴う需要加が期待され、必ずしも悪いことばかりではない。日本国内における半導体工場新設も、その一環と見做すことができる。
まとめ：半導体産業の重要性と日本企業の展望
経済的にも、地政学的にも半導体の重要性が増していることを踏まえると、半導体関連銘柄が担う株価上昇のけん引としての地位は当分変わらないだろう。日本企業にとっては、技術力を活かしつつ、地政学リスクにも適切に対応しながら、この成長市場でのシェア拡大を目指すことが重要となる。
世界経済の回復と半導体需要の拡大は、日本の半導体関連企業にとって大きなチャンスとなる。しかし同時に、米中貿易摩擦や地政学的リスクへの対応も求められる。バランスの取れた戦略と継続的なイノベーションにより、日本企業が半導体産業での存在感を高め、経済成長に貢献することが期待される。
*本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。
与信リスクのプロとして、お客様のビジネス成長を支援
私たちは、与信リスクに特化した保険ブローカーとして、お客様の信頼できるパートナーであることを使命としています。取引信用保険、資金調達サービスに興味がある方は気軽にお問い合わせください。
