2024-03-21

2024年の世界経済は回復基調にあるものの、リスクも残っています。IMFは成長率を3.1%、インフレ率を5.8%と予測しました。主要国では米国の成長鈍化、中国の消費・投資低迷、ユーロ圏の景気回復が見込まれ、新興国は底堅く推移の見通しです。リスクとしてディスインフレ加速、財政支援縮小、中国経済回復、AIの影響などに注意が必要で、各国中央銀行は慎重な金融政策調整を、政府は財政再建を進めるべきです。

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目次

はじめに:2024年世界経済見通しの概要 | 成長率とインフレ率の予測

国際通貨基金(IMF)が発表した最新の「世界経済見通し(WEO)」によると、2024年の世界経済成長率は3.1%と予測されています。これは、2023年10月時点の予測を0.2%ポイント上回る数値です。この上方修正は主に、足元で経済活動が堅調に推移していることと、中国が財政支援策を打ち出していることが背景にあります。

しかし、2024年と2025年の世界経済成長率は、2000年から2019年までの平均である3.8%を下回る見込みです。この背景には、多くの国の中央銀行が高い政策金利を維持していることと、各国政府が財政支援策を縮小させていることが、経済活動の抑制要因として作用していることがあります。

インフレ率については、多くの国・地域で予想以上のペースで低下しています。これは、供給面の制約が緩和されつつあることと、引き締め的な金融政策が継続されていることが主な要因です。IMFは、世界全体のインフレ率が2024年には5.8%、2025年には4.4%まで低下すると予測しています。ただし、2025年のインフレ率予測は、前回の見通しから下方修正されています。

主要国の経済見通しを見ると、米国では金融引き締めの影響により成長率の鈍化が見込まれています。中国では、消費と投資の低迷が続き、経済成長の重しになると予想されます。一方、ユーロ圏では、エネルギー価格の高騰と金融引き締めによる需要の制約を受けた2023年からの反動で、2024年は若干の景気回復が見込まれています。

新興国・発展途上国については、多くの国で経済が底堅く推移すると予想されます。特に、ブラジル、インド、東南アジアの主要国では、経済成長率が加速する見込みです。

このように、世界経済は総じて回復基調にあるものの、インフレ率の動向や金融政策の正常化ペース、各国政府の財政運営などを巡る不透明感は依然として根強く残っています。こうしたリスク要因が顕在化した場合、世界経済の成長軌道が想定よりも下振れる可能性には注意が必要です。

Overview of the World Economic Outlook Projections

出所:IMF 「WEO」

見通しに対するリスク

IMFによると、供給ショックが緩和するにつれてハードランディングの可能性が後退する中で、世界に対するリスクはおおむね均衡しているが、その中でも深在するリスクの中以下のリスクに注意が必要です。

ディスインフレの加速

  • 燃料価格の下落が物価に反映され、求人数が減少し、企業の利益率が圧縮される中、インフレが鈍化するリスクが再び現実味を帯びるかもしれない。
  • インフレ期待の低下と合わせて、中央銀行が政策緩和を進める促進剤になる可能性がある。

財政支援の縮小

  • 主要国政府が財政支援を遅れて縮小すると、経済成長が予想を上回る可能性があるが、インフレが加速し、公的債務が高水準にある中で借り入れコストの上昇と政策調整の混乱につながる可能性もある。

中国経済回復の加速

  • 不動産部門関連の改革や財政支援の規模の拡大が消費者信頼感を高め、民間部門の需要が増大し、経済成長の波及効果が生まれる可能性がある。

人工知能と供給側の改革

  • 人工知能が労働者の生産性と所得を押し上げる可能性があり、先進国はその恩恵を受けやすい。新興市場国や発展途上国では、供給側の改革が国内外からの投資を増やし、生産性が向上し、所得水準が向上する可能性がある。

まとめ:金融政策の調整と財政再建の重要性

世界経済は、インフレ率の予想以上の低下を受けて、多くの中央銀行が金融引き締めから金融緩和へと政策スタンスを転換しつつあります。しかし、インフレ率が再び予想を上回るリスクがあるため、中央銀行は性急な政策変更を避け、基本的なインフレ率やインフレ期待が目標水準に達するまで、慎重に政策金利を調整すべきです。

新興市場国の中には、金融引き締めサイクルにある国もあります。これらの国では、賃金や物価の上昇圧力を注視しながら、適切に金融政策を調整することが重要です。また、借入コストが高止まりしている状況下では、金融部門の安定性を確保するため、資金調達状況を注意深く監視し、必要に応じて金融安定化ツールを活用できるよう準備しておくことも肝要です。

各国政府は、財政赤字が継続している現状を踏まえ、信頼に足る中期的な財政再建計画を策定し、速やかに実行に移す必要があります。その際、優先度の高い投資や脆弱な立場にある人々への支援は維持しつつ、財政の持続可能性を高めることが求められます。適切に策定された財政再建計画は、財政政策の信頼性を高め、市場の混乱を回避することにつながります。さらに、一部の国では、債務再編についても検討すべき状況にあります。

企業は、各国政府の財政赤字が当面続くことを前提に、中長期的な事業計画を立てる必要があります。その上で、投資判断を行う際には、各国の財政再建の進捗状況やマクロ経済環境の変化を注視し、リスクを適切に管理することが重要です。

以上のように、世界経済は徐々にインフレ率の低下と金融緩和への転換が進む一方で、様々なリスク要因を抱えています。2024年は中央銀行、政府、企業は、それぞれの立場で適切な対応を取ることが求められる局面になる見込みです。

*本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。

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