インドでは2024年の下院総選挙で、モディ首相率いるインド人民党(BJP)の勝利が有力視されています。過去2期で高成長を実現したモディ政権ですが、3期目のインド経済の成長の姿と、日本企業がインドの変化をどう捉え、どのような戦略でビジネスチャンスを掴むべきかを展望します。総選挙の行方とモディ政権の評価を踏まえ、今後のインド経済の見通しと、有望分野や課題を交えた日本企業の戦略を考察します。
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インド総選挙とモディ政権の評価
インドでは2024年4月から6月にかけて下院総選挙が実施され、6月4日に開票予定です。与党のインド人民党(BJP)の勝利とモディ首相の3選が確実視されています。モディ政権の人気の源泉は、高い経済成長と失業率・財政・インフレの安定、ヒンドゥー至上主義の推進によるヒンドゥー教徒の支持獲得、対外プレゼンスの向上にあります。
一方、野党は最大野党の国民会議派を中心に「I.N.D.I.A.」という大連合を結成しましたが、利害調整に難航し足並みは揃っていません。総選挙の前哨戦となった州議会選挙でもBJPに敗北しており、モディ政権を脅かすには至っていません。
モディ政権の経済運営は、インフラ投資・製造業振興による投資主導の高成長と、失業と財政赤字の抑制、物価目標導入によるインフレ率の安定が特徴です。ヒンドゥー至上主義については批判もありますが、人口の8割を占めるヒンドゥー教徒の支持を集めています。対外的には全方位外交を展開し、対中包囲網で米国と連携する一方、ロシアからは安価な石油と武器を輸入しています。
総選挙後のインドの成長の姿
モディ政権の3期目でも成長重視の政策が継続される見通しです。高付加価値分野を中心とする製造業振興策「Make in India」などにより、製造業の生産・輸出の拡大が鮮明化しています。また、高賃金雇用の増加により、自動車など高額耐久財の需要拡大が期待されます。ハードインフラの整備も進展しており、日本企業もビジネス環境の改善を実感しつつあります。
他方、成長の偏りとソフト面のビジネス環境整備の遅れは課題として残ります。労働集約型産業の発展が不十分なため、中間層の厚みのある雇用創出には繋がっていません。また、法制や税制などのソフト面の整備は進んでおらず、日本企業にとってビジネス上の障壁となっています。
日本企業のインドビジネス戦略
日本企業のインドに対する関心は高まっているものの、実際の投資はまだ限定的です。インドの成長性を捉えるためには、成長が期待される分野で日本企業の強みを活かす戦略が重要になります。
例えば、自動車産業では、インドの自動車市場の拡大が見込まれる中、低価格志向の強い消費者ニーズに対応するため、現地開発・生産・調達による徹底した価格競争力の向上が求められます。内燃機関車が大部分を占める市場構造が当面続く見通しで、日系メーカーに有利な状況が続くとみられます。
鉄鋼産業では、インフラ整備による需要拡大が続く中、建材等の汎用品の「量」の確保と、送配電や再エネ関連の高級鋼需要への対応という「質」の追求が求められます。インド政府の保護主義的政策への対応や価格競争力向上のため、生産体制の現地化を進めることが日系企業の勝ち筋となります。
まとめ
モディ政権3期目でインドの成長路線は継続し、製造業とインフラ関連の成長が期待されます。一方、成長の偏りやビジネス環境の課題は残ります。日本企業がインドの成長を取り込むには、成長分野で強みを発揮しつつ、難しいビジネス環境への対応として「現地化」を進めることがポイントになるでしょう。半導体やスマホなどプレーヤーが少ない分野でも、関連部素材などで競争力のある企業にはチャンスがあります。このように、インドのダイナミックな変化をしっかりと見極め、自社の強みを活かした戦略的なアプローチが求められます。
*本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。
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